今回も長期学習プランの話題なのですが、この記事を書くための参考として、「〇〇大学 勉強計画」の○○にいろいろな大学名を入れてGoogle検索をしたところ、暗澹たる気持ちになっております…(わかってはいたのですが)

ネットの記事がダメだという話をしたいわけではないのです。ただ、「こういう記事を鵜呑みにしてしまう生徒がいるんだよな…」と、過去のことなど振り返っていたら、だんだん気分が落ち込んでしまいました。が、そうも言っていられないので、がんばって記事を書きます。

「〇〇大学 勉強計画」 で検索すると、塾・予備校の合格体験記がヒットすることが多く、まず、「個人の体験を一般化して(自分にも当てはまることとして)読んでしまう」という危険を回避できるか否かが試されます。

「部活を引退してから本気で勉強したら合格しました」「英語はとにかく長文をたくさん読みました」「過去問を早めにやることで自分の弱点がわかって勉強しやすくなりました」

個人の体験は個人の体験ですから、それの何かが間違っているというわけではないのですが、その体験記を書いた人が部活引退後に勉強を始めて間に合ったからと言って、他の人(特に自分)がそうなるとは限らないわけで、そこは注意しなくてはいけません。

いや、そのくらいわかってるわ、という声が聞こえてきそうですが、「個人の体験を一般化して(自分にも当てはまることとして)読む」という習性は、人の本能にけっこう近いところにあるんじゃないか、それゆえにそういう習性から逃れるのはそうとう難しいんじゃないかと私は思っています。ドラマを見て、小説を読んで、感動したり興奮したりするのは、きっとそういう本能が働いているからなのでしょう。通販番組で「これは個人の感想です」と注意書きをしてでも個人の感想を語らせるのも、やはり「個人の感想」に人を動かす力があるからだと思います。

そういうわけで、合格体験記に載っていることがそのまま自分にも当てはまるとは限らない、と強く意識することは重要です。

また、合格体験記を読むときに、「詳細を都合よく解釈してしまう」というのも危険です。「部活を引退してから本気で勉強したら合格しました」の「本気で」って、具体的にどのくらい本気なんでしょうか。これを「毎日15時間の勉強」と読む人もいるでしょうし、「毎日8時間の勉強」と読む人もいるでしょうし、「週に8時間の勉強」と読む人もいるかもしれません。

大学受験勉強を始めるにあたって、いろいろと調べるのは良いのですが、他人の経験というのは扱いに注意が必要です。

これと似たような話で、「先輩から聞いた話」「兄や姉から聞いた話」というのも扱いが難しく、たとえば「先輩が〇〇大学の英語は簡単だったって言っていました」などという発言を生徒から聞くと、私の頭の中では警報音が鳴り響きます。この発言は単なる事実の報告ではなく、「だから私も英語をそんなに勉強しなくていいですよね?」という含みを持っていると考えるのが普通でしょう。その先輩が正しく入試問題の難易度を判断できるのか、本当に簡単だったとして、それはその年だけそうだったのか、それとも例年そうなのか、例年簡単だったとしても、それは受験生全員にとって簡単ということになるから、高得点帯での1点や2点を争う勝負になるはず……といった、当然考えなければならないことをすべて無視して、「先輩が簡単だったと言っていた(からそんなに勉強しなくていいですよね)」と言っているんじゃなかろうか、と思うわけです。

ネットの情報にしても、先輩や兄姉からの情報にしても、その正誤を判断するのは難しいですし、仮に正しいとしても、それをそのまま自分にも適用するのは、あまりに危険です。

ネットで 「〇〇大学 勉強計画」 を検索すると、合格体験記のほかに、「〇〇大学合格ルート」などのタイトルで、参考書や問題集が紹介されていたりします。「〇〇大学に合格するには、まず参考書Aを読み、次に問題集Bにとりかかって、3年夏からは過去問に取り組みましょう」といったことが書かれているのですが、仮にその参考書Aや問題集Bの選択がその大学の問題に対して的確だとしても、受験する当の本人にとって的確かどうか、そこが問題です。

これは、塾などに行ったときにも同じことが言えます。入塾相談か何かで、「〇〇大学あたりを目指しているんですけど」と言ったときに、その生徒本人の学力を見ることなしに、「それではこういったカリキュラムになりますね」と提示してくる塾があるとすれば(たぶんそんな塾はないと思いますが)、かなり危険だということは明らかだと思います。

学習計画を作るにあたっては、①目標とする到達地点から逆算する、②出発地点を見極める、③学習内容相互の関連を適切に埋め込む、④成長速度に応じて変更する(余地を作っておく)という、少なくとも4点が非常に大切です。

学習計画を作ろうと思う人であれば、①を考えないことはないでしょう。しかし、②はないがしろにされがちで、難しすぎる参考書や問題集に手を出してしまう受験生がたくさんいます。前述の、いきなりカリキュラムを提示してくる塾(いや、普通はそんな塾ないと思うんですけどね)も、②を無視しています。ここで、うまいぐあいに①と②がクリアできたとしましょう。しかし、到達点と出発点が決まれば行程は自動的に決定する、というものでもありません。まだ③④のポイントが残っています。が、これらについては、また別の記事にしたいと思います。