今回の記事の副題は「単語テスト番長について」です。いったい何なんだと気になるかとは思いますが、まずは学校での単語テストの実施状況に関する話からです。私の聞いた限りでは、ほとんどの学校で英単語のテストが実施されているようです。しかし、範囲設定がどうにも甘いことが多く、非常に残念です。「一年間に単語帳一冊を一周」というのが標準的なペースのようで、テストが年間7回あれば単語帳を7分割、テストが10回あれば単語帳を10分割、そういう範囲設定のことが多いようです(私の知っている限りでの話です、学校批判をしたいわけではありませんので悪しからず)

しかし、考えてみてほしいのですが、これで本当に単語を憶えられるのでしょうか。

たとえば来週単語テストがあるというので一生懸命勉強したとします。テストではめでたく100点でした。もし憶えたことは忘れないという超人であれば、これで何の問題もありません。しかし、普通の人間であれば、テストの一週間後にはほとんどの単語を忘れてしまいます。さて、単語テストに何の意味があったのでしょう……。

いわゆる要領の良い生徒はこういうテストの性質を理解していますから、まじめな生徒ならテスト前に少し勉強してテストでそれなりに良い点数を取り、まじめではない生徒はほとんど勉強しません。テストの点数が悪くても、そんなもんだろうと開き直っていたりします。

気の毒なのは、まじめだけれど要領の悪い生徒です。こういうまじめな生徒は、勉強に時間をかけるのは得意ですから、単語テストに向けてきちんと時間をかけて準備をし、しっかり良い点数を取ります。まじめに勉強して高得点を取るのは、やはり快感です。しかし、それが危険なのです。単語テストで良い点数を取ることに意識が集中してしまい、英単語を憶えて英語の文章を読めるようになるという本来の目的を見失ってしまう場合があるのです。そうして単語テスト番長が誕生します。単語テスト番長は、テストに向けて範囲内の単語をがんばって頭に詰め込みます。詰め込んだものをテストで吐き出します。そしてすっかり忘れます、まるで忘れてしまったほうが次のテストの単語が頭に入りやすいと言わんばかりに……。単語テスト番長は、単語テストでは良い点数を取ります。やたらと難しい単語の意味を正解したりもします。しかし、実際に英文を読んでいるときには、かなり基本的な単語すら思い出せません。単語テスト番長は、単語テストでしか力を発揮できない悲しい存在なのです。単語テスト番長の頭の中には、どの単語が基本で、どの単語が稀にしか出ないものか、という区別が存在しません。なにしろ、どれも等しく次のテストの範囲内の単語なのですから…。

 

予備校doにも単語テストがあります。英文法や読解などと同じように、生徒ひとりひとり頃合いを見計らって英単語のターゲットテストを開始します。そして、クリアした範囲は、毎週実施するスパイラルテストで出題の対象となります。ターゲットテストは範囲がたいして広くありませんので、ある程度の勉強時間をかければ高得点が取れます。仮にターゲットテストで高得点が取れない場合には、勉強方法に何らかの問題があるので、そこで勉強方法についての指導をします。ターゲットテストでクリアした範囲は全て、スパイラルテストの出題範囲になりますので、スパイラルテストの出題範囲はどんどん増えていき、ついには単語帳一冊まるまる全部が範囲になります。単語帳一冊全部と聞いて驚くかもしれませんが、入試では、ここからここまでの単語しか出しませんとは言ってくれませんから、単語テストで単語帳一冊全部を範囲にするのは当たり前です。

予備校doではここまでして語彙の強化を図っていますが、それでも私は、ターゲットテストやスパイラルテストの結果が良ければ安心だとは思いません。単語テストで良い点数を取る能力は、単語を本当に憶えるという能力とは、全く別とは言いませんが、かなり違うものだと考えています。

では、なぜdoでも単語テストを実施しているのか。単語を本当に憶えるにはどうしたらいいのか。次回はそこをお話ししたいと思います。