前回は、単語テストで点を取る力と本当の語彙力は、同じものではないというお話をしました。単語テストでしか点が取れない単語テスト番長になりやすい人の特徴も書きました。

予備校doでも、ターゲットテストおよびスパイラルテストで英単語のテストをしています。単語テストでしか点が取れないのでは意味がありませんが、単語テストはやはり語彙力強化に有効です。

単語テストが語彙力強化に有効に働く理由のひとつは、テストが勉強のペースメーカーになるという点にあります。「はい、単語の勉強してね」と言われても、どのくらいのペースで勉強していけばよいか、自分ひとりでは判断が難しいでしょう。予備校doでは、いつの時期までにどの範囲までの単語を憶えるべきかという指針を長期学習プランという形で示します。そのうえでターゲットテストでテストをしていくので、学習のペースがつくれます。また、何度も同範囲を復習したり、間違えた単語を何度も勉強したりということも、週に一回のスパイラルテストで可能にしています。

しかし、いくらターゲットテストとスパイラルテストで良い点数を取っても、それだけでは、本当の語彙力は身につきません。語彙知識が本当に定着するのは、単語テストのために勉強した単語に、単語テストの外で出会ったときです。

単語テストに向けてある単語を憶え、単語テストの中でその単語に出会ったとしても、それはあたりまえです。ただ出るべき単語が出てきただけですから。こういうのは印象に残りません。予想もしていない意外な場面での出会いこそが印象に残り、その単語が記憶に定着する手助けをしてくれます。

単語テストに向けて勉強していたら、たまたまリーディングの長文の中でその単語に出会い、その意味が分かった。そういうときにこそ、自分とその単語との結びつきが強化されます。学校の友達と学校の中だけで会うより、学校の外でも会うほうが、その友達との結びつきは深くなりますね。しかも、「あれ!? きみ、こんなところに来るの?」という意外なところでの出会いのほうが、印象に強く残ります。

単語テストに向けた勉強は「たくさんの単語ととりあえず挨拶を交わす」作業です。とりあえず顔見知りになっておかないと、他の場面で出会っても気付きませんね。多くの単語と顔見知りになるには単語テストに向けた勉強が有効です。これが単語テストが語彙力強化に有効な理由のふたつめです。しかし、大切なのは、挨拶を交わして顔見知りになったあと、そのつながりが途絶える前に、つまり記憶に残っているうちに、他の場面で出会うことです。

ですから、単語テストのため勉強するという意識が強いのは困りものです。単語テストに向けた勉強という意識が強すぎると、そのテストで良い点を取った後すぐに忘れてしまいますし、単語テストのとき以外、つまりリーディングのときなどに、憶えたはずの単語とすれちがっても気付くことができません。なにしろその記憶は、単語テストのとき限定で呼び出すものとして頭の中にしまわれているのですから。それでは単語との強い結びつきはうまれません。