予備校doでは、「ターゲットテストとその添削&解説」が指導の軸になっていますが、この「添削」というのは一般的にイメージされるものとはかなり違うかもしれません。

テストの添削というと、丸とバツをつけていって、はい、合計で○○点ですね、というイメージではないでしょうか。ですが、予備校doの「添削」はそんなに甘いものではないのです。テストの解答を生徒と講師が一緒に見ながら、「なぜ、この答えになったのか」「正解に辿り着けなかったのはなぜか」を分析していきます。その過程で私たちは、ごく普通に「なぜ、この答えになったの?」「どうしてこう考えたの?」と生徒に訊ねます。特別な意味はなく、ただただ生徒の思考過程を明らかにするために「どうして?」と訊くのです。

しかしこれは、いわゆる勉強が苦手な生徒に多いのですが、「どうしてこう考えたの?」と訊かれると、問い詰められているような気がするのでしょう、思考停止に陥ってしまう生徒がいます。こちらには問い詰める気はまったくないのですが、今まで勉強の場で「なぜそのように考えたのか」を訊かれたことがないか、訊かれたとしても「なぜ(=どんな変な理由で)そのように(=間違った答えが出るように)考えたのか」という含みを持った訊かれ方をしてきたのでしょう。それが普通になってしまった生徒には、「どうして?」は問い詰める響きをもって聞こえるのだと思います。

このような状態になっている生徒に、「どうして?」には他意はないから本当に自分が考えたことを話してみればいいのだと気付かせるには、長い時間がかかることが多く、指導において非常に神経をつかいます。思考過程を明らかにするといっても、私たちにはそれなりの指導経験がありますから解答を見ればどのように考えたのか、たいてい見当がつきますので、「どうして?」という、答えの幅が広い質問のしかたではなく、「これはこういうふうに考えたのかな?」という、YES/NOで答えられる質問から入ったり、それはもう様々な手段を用います。そうして少しずつ、自分の思考過程を言語化できるように育てていきます。(もうそろそろ「どうして?」と訊いてもいいかなと思って訊いてみたら、時期尚早で大失敗をした……ということもあります……)

正直なことを言えば、どのように考えたのかなど訊かず、「これはこうだからこうなるでしょ、だからこうなって、これで答えが出るね」と教えてしまえば、時間も短縮できますし、生徒にも「わかりやすい!」と思い込ませることが恐らく可能です。生徒にとっても「どうしてこう考えたの?」なんていう面倒なことを訊かれずに済むわけですから、そのほうがお互いハッピーなのですが、それもしばらくの間だけです。そのような指導では、教えられたときには分かったつもりになれても、実際に自分で問題を解いてみたら解けませんから。自分がどのようにして間違えているかという分析をする機会を与えられずにいれば、何度も何度も同じ間違いを繰り返し、「できるようにならないな」という思いが積み重なって、勉強などやめてしまうでしょう。

初めは時間がかかっても、自分で自分がどのように考えたのか、はっきり言葉にできるようになれば、飛躍的な伸びが期待できます。「この問題、こういうふうに考えたんですけど、これって何でダメなんでしょう? これこれだから? でも、そうだとすると、こっちの問題で同じようにして解けた理由がわからなくなるんです。どういうことなんでしょう!?」なんて質問できるようになれば、後は自分でどんどん知識を吸収していきます。

そういうわけで、今日も私たちは「どうして?」という問いかけを繰り返すのです。